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【事前に押さえておきたい】和食のテーブルマナーの身だしなみや服装
テーブルマナーとは、一緒に食事をする人々や料理を提供してくれる方に対して敬意を表す行儀作法のことです。
食文化や食事の種類ごとの決まりにしたがって、お箸やフォーク、ナイフなど食事に用いられる道具を正しく使う心遣いのことを言います。
テーブルマナーには、格式高い正式な席での儀礼的マナーとしての『儀式』と、日々の食事シーンでも気を付けるべき調和的マナーとしての『行儀』の大きく2つの意味合いがあります。
どちらにせよ、テーブルマナーは食事の場にいる人々がみんな気持ちよく過ごせて、料理を美味しく楽しめのものであるというのが本質です。
テーブルマナーは、食事のジャンルによって出てくる料理の種類や使う食器が違うため、和洋中など食事ジャンルやお店の料理ジャンルによりそれぞれ異なります。
和食のテーブルマナーを知る前に、前情報として、和食をいただく席での身だしなみや服装のルールについて知っておきましょう。
和食をいただく=和服を着用する必要があるのか気になるところですが、「着物でお越しください」などお店側からのお願いやルール、ドレスコードがない場合は、TPOを守ってさえいれば決まった服装は特にありません。
普段より少し控えめなくらいの服装で、食事の場を共にする方とのバランスが取れるような、その場にふさわしい身だしなみを意識することが大切です。
また、化粧品や香水、整髪料など香りの強いアイテムを身に付けるのは避けましょう。
柔軟剤の香りにも注意が必要です。
和食のみならず、お料理は味覚や視覚だけでなく、嗅覚でも楽しむもの。
匂いは味の一部であることを忘れずに、自分だけでなく、周りの人たちにも影響を与えてしまうことを覚えておきましょう。
和食のテーブルマナーを知る前に、身だしなみに加え、事前知識である日本料理(洋食に対して和食ともいう)の種類も知っておきましょう。
伝統的な日本料理は下記が挙げられます。
ほかにも、本膳料理を簡素化した『袱紗料理』や精進料理が中国の影響を受けてできた『普茶料理』、お寿司や蕎麦、天ぷら、ふぐなどの専門料理が日本料理・和食としてよく知られています。
ここでは、代表的な4つの日本料理についてそれぞれ説明します。
なお、これらはいずれも、一食でバランスの良い食事を取れる『一汁三菜』の考え方が基本となっています。
本膳料理とは、冠婚葬祭時などに用いられる料理スタイルで、儀式的な宴会料理・おもてなし料理のことです。
室町時代に確立され、江戸時代に発展してきたという最も古い歴史を持ち、和食のルーツとしても知られています。
飯物・汁物・香の物の付いた本膳(=お膳)の料理が基本です。
精進料理とは、鎌倉時代に禅宗と一緒に中国から伝わったとされている、魚やお肉などの動物性食品を一切使わない料理のことです。
修行中の僧侶が仏前に供えた供物を下げ、食材にしていたことが始まりであると考えられています。
精進料理は殺生を禁ずる仏教の考えに基づいているため、使用される食材が植物性の食材に限定されたヘルシーな料理・ベジタリアンフードですが、ニンニクやネギ、ニラ、らっきょうなど匂いの強い刺激的な野菜類(=五葷)も使用されません。
現在は寺院の修行僧などがいただく料理として知られており、お寺だけでなく一般社会にも広まっています。
精進料理から派生して、うどんやそうめん、ようかんなどの料理も生まれました。
懐石料理(別名:茶懐石料理)とは、禅宗の修行僧が食べた食事を元にした茶道のおもてなし料理のことで、茶をメインとした料理スタイルを指します。
茶会や茶事を催す際、濃茶を振る舞う前に主催者である亭主が提供した軽い食事のことで、旬のこだわり食材を楽しめる本膳料理を簡素化したものでした。
僧侶が空腹をしのぐための質素な食事に由来しているため、あくまでも茶を美味しく飲むことを目的とした簡易的で素朴な料理であるとされています。
懐石料理とは、外食する場が増えた江戸時代に発展した料理で、現在では料亭・割烹や旅館・ホテルでの宴会の席、結婚式などの改まった場で提供される最もポピュラーなおもてなし料理です。
和食の基本である本膳料理を簡略化し、懐石料理を宴会やお酒の席に合わせて豪華にアレンジされており、現在の日本料理の主流といえるでしょう。
同じ読み方である懐石料理とは、内容が異なるものの、現代ではほぼ同じ意味として認識されています。
そのため、本来の懐石料理を『茶懐石料理』と呼び分けるようになりました。
会席料理はお酒に合うメニューが中心となった献立のある料理で、懐石料理よりも豪華な品目が多く、旬の食材が使われています。
日本料理は、中華料理やフランス料理と並んで『世界三大料理』のひとつであると言われており、また『和食』は無形文化遺産にも登録されたほど。
日本人だからこそ、基本的な和食のテーブルマナーを知っておきたいものです。
ここでは、まず知っておくべき基本のテーブルマナーを5つ紹介します。
和食の基本である一汁三菜は、それぞれ以下のように配置するのがルールです。
日本には『左上位』の伝統があり、左側に重要なものを配置するため、主食であるご飯を左側に配置します。
飯物と汁物を左右逆に配置することは仏壇へのお供えを意味するので注意してください。
また、主菜や副菜、副々菜といったおかず類は、すべて奥に置きます。
大皿に盛り付けられることが多く、テーブルに置いたまま食べる主菜は右側に置かれ、手に持ちやすい副菜や副々菜は左側に置かれます。
三菜に含まれない香の物(お漬物)は、飯物と汁物の間に配置します。
お茶は、右手で湯呑みを取って左の手のひらに乗せやすいよう右側に、水菓子やデザートはお茶の左側に置きます。
なお、左利きの人に対する和食の配膳では、料理の並べ方の向きは変えず、箸の向きだけを反対にするようにしましょう。
和食だけでなく、料理は味の薄いものを最初に、そのあと濃いものを食べるのがマナーとされています。
その理由は、先に味の濃い物を食べ始めてしまうことにより、料理の風味や繊細な味付けがわかりにくくなるためです。
和食に関しては、先付けがある会席料理を除き、基本的に汁物から食べはじめ、次にご飯→主菜→副菜という順番で食べ進めるのが正しい順番であるとされています。
これは、先に箸を汁物につけることで、ご飯など後から食べる料理が箸につきにくくなることに由来します。
料理単位でいうと、先に食べた方が良いものが左側や手前にくるように配膳されていることが多いので、基本的には左から右へ、手前から奥へ食べ進めていきましょう。
また、飯物と汁物を一口ずつ交互に食べるようにするなど、特定の料理だけを集中的に食べないことも和食の食べる順番マナーのひとつです。
会席料理の順番に沿ったテーブルマナーは後ほど解説します。
和食は箸でいただく料理なので、 箸の扱い(箸さばき)を知っておくことは基本のマナーとして大切です。
まず、日本に昔からある「箸は三手で持つ」いう言葉の通り、箸を持ち上げる際は以下の3ステップを意識し(左手の場合は反対)、一連の動作を繋げて流れるように行います。
次に、箸を使う際は下の箸を動かさず、上の箸のみ動かすようにします。
持ち方のマナーに加え、箸先を3cm以上汚さないことにも気を配りましょう。
そして、箸を置く際は持ち上げるときと反対の動作を行い、箸置きまたはお盆・お膳の縁に置きます。
箸置きがなければ、箸留めの巻き紙を用いるか、箸袋や懐紙 (※) を山型折りや結び文折りにして箸置きを作りましょう。
食べ終わったあとは、箸先の汚れを懐紙で拭いて元の位置に戻すか、箸袋がある場合は袋に入れて置きます。
※懐紙(かいし)とは、和食における必需品のひとつ。箸の汚れを拭くほか、魚の骨やデザートで出た果実の種を隠したり、魚の骨を取るときに魚の頭部分を抑えたり、口元を隠したりなど、広く使うことができます。
箸が割り箸の場合は、箸を横にしてなるべく静かに音を立てず上下に割り、ささくれが出たら手で取ります。
食器に当たらないように、テーブルの上ではなく、ひざの上あたりで割りましょう。
真ん中に巻き紙の箸留めがある箸の場合は破らず、左右片方ずつ箸を引いて取りましょう。
箸留めがある割り箸の場合は、右手で箸を取り上げ、左手で巻き紙を持って左に滑らせて外します。
和食を食べ終わったあとは、空いた器を元の配膳位置に戻します。
器が傷つく恐れがあるので、空いた器を重ねるのはNGです。
また、使い終わった箸は箸先を揃えて箸置きに置くか、箸袋に戻して箸袋の先端を下側に折る or 結び、使い終わったことが分かるようにします。
箸袋を折ったり結んだりして箸置きにしていた場合は、再び箸袋を広げてから中に箸を戻すか、使用して汚れた箸先を隠す形で結び目の先に入れます。
箸置きや箸袋がない場合は、箸先を器の縁に立てかけるか、器の手前あたりに揃えて置きましょう。
使い終わった箸を器に乗せたり、割り箸を折ったりするのはNGです。
和食・日本料理をいただく際は、食事マナーに加えて食事をいただく場所=和室でのマナーも大切です。
最近は和室がない自宅が増えていることもあり、和室でのマナーを意識する機会も少なくなりつつありますが、基本的なマナーである席次や座り方を知っておきましょう。
和室での席次は、床の間を背にした出入り口から遠い席が上座で、出入り口に最も近い席が下座とされています。
そして、和室での座り方は基本的に正座です。
そのため、入室したらまずは下座の畳の上に正座をして待ち、足がしびれてしまわないように、タイミングを見極めて正座を崩しましょう。
自分の座布団が用意されている場合、近くまで行き、招待者や目上の方に勧められてから座るようにします。
正座を崩しても失礼にならないタイミングは、乾杯のあと、食事がスタートする時です。
ただし、正座を崩しても上半身の姿勢はぴんとまっすぐ伸ばし、美しく座るように心がけてください。
基本的な和食のマナーを理解したら、次は大人になって口にする機会の多い会席料理のマナーを見ていきましょう。
会席料理の献立の基本は、一汁三菜。
一汁に椀物としてお吸い物が、三菜にお造り(お刺身)・焼き物・蒸し物(煮物)が出される献立が一般的です。
それらに加えて先付けや揚げ物、酢の物などの酒菜が提供され、会席料理の最後にご飯・止め椀・香の物や水菓子・デザート・お茶が出されます。
『菜』の数は、奇数のほうが偶数より縁起が良いとされているため、奇数で構成されていることがほとんどです。
それでは、会席料理の順番に沿ってテーブルマナーを解説していきます。
まず最初に先付けとして、季節感のある焼き物や和え物など、彩りよく盛り合わされた酒の肴が出されます。
先付けは前菜やお通し、突き出し、八寸、口取りなどとも呼ばれています。
目で見て楽しんでから、ゆっくりと味わいましょう。
先付けは盛り付けを崩さないよう手前から食べ進め、平皿などに乗っている酒菜はそのままで、お椀や小鉢に盛られている汁気の多い酒菜は必ず器を持ち上げて食べます。
串ものの場合は、箸で押さえながらひとつずつ串からそっと抜いて、お皿の上で一口サイズに切ってからいただくようにしましょう。
抜き終わった串は器の向こう側へ寄せておきます。
このとき、 酒菜を直接口に運んだり、串に刺さっているものを一気にまとめて外したりする行為はNGです。
酒菜である先付けは、いただく前にお酒を一口飲み、その後も酒菜とお酒を交互にいただくようにしてください。
続いては、一汁三菜の一汁にあたる椀物として、一般的にお吸い物・すまし汁が出されます。
季節によって土瓶蒸しが提供されることもあります。
椀物は、蓋を開けたらまず香りを楽しんでからお汁を一口いただき、そして具を口に運ぶことで旬の味を存分に感じましょう。
そのあとは、お汁と具を交互にいただくようにし、大きな具は箸で一口サイズに切って食べます。
あさりやしじみなどの貝類が入った汁物を食べる際は、身を食べた後の貝殻をお椀の蓋に乗せたり外に出したりせず、お椀の中に入れたまま食べるようにしてください。
椀物の蓋は、左手をお椀の縁に添えて、右手の親指と人差し指で蓋の糸底をつまんで持ち上げます。
このとき、他の指は蓋に添わせて、「の」の字や半月を描くように回しながら持ち上げると蓋が開きやすいので試してみてください。
椀物の蓋は目上の人が先に開けるまで待つのがマナーです。
蓋を開けたら、器の上で縦に持ち直して蓋の内側についている水滴を落とし、裏返しにして左手の上に一旦置きます。
器が左側にあった場合は左奥に、右側にあった場合は右奥に置いておき、食べ終わったら元通りお椀に蓋をかぶせてください。
このとき、お椀を痛める原因となる蓋を斜めにかぶせる行為はNGです。
秋の旬である土瓶蒸しが椀物として提供された場合は、まず土瓶の蓋を開けずに出汁をお猪口に注ぎ、香りを楽しんでから、そのまますだちを搾らずにひと口いただきます。
次に土瓶の蓋を開け、水滴が垂れないように気をつけながら裏返して脇に置いて、土瓶にすだちを絞ります(お猪口に直接絞ってもOK)。
蓋を閉じて10秒ほど蒸らしたら、お猪口に出汁を注いで先ほどと違った味わいを楽しんでみてください。
そのあとは、土瓶の中の具材と出汁を交互に口に運びます。
食べ終わったら蓋を元に戻して、残ったすだちを蓋の上に乗せ、お猪口を被せておきましょう。
お造り・お刺身は『向付け』とも呼ばれ、基本的にはあっさりとした風味の白身魚や貝類、こってりした風味の赤身魚のお刺身が出されます。
味が淡白な白身魚から順に食べ、最後に赤身魚をいただくのがマナーです。
船盛を複数人でいただく場合は、目上の人から取っていきます。
見た目+お口直しの意味で添えられているお刺身のつま(千切りにした大根や人参、パセリ、食用菊、大葉などの持ち合わせ)や薬味の赤穂シソは食べなくても、お刺身と一緒にいただいても、どちらでも構いません。
お刺身は少量の醤油をつけていただきますが、醤油が垂れるのが気になる場合は、醤油皿を手に持っても大丈夫です。
ただし、わさびを醤油に溶かすのではなく、箸で少量取ってからお刺身に直接乗せてから醤油をつけるようにしてください。
そうすることで、薬味であるわさび本来の味と香りを楽しむことができ、見た目的にも美しく食べることができます。
会席料理では、尾頭付きの魚や切り身魚、一口サイズにカットされたお肉、帆立やエビなどの焼き物が、食事の中盤ぐらいのタイミングで提供されます。
焼き魚は頭から尾へ(左から右へ)、一方向に少しずつ背身(上の身、表側の身)を食べます。
このとき、魚をひっくり返したり、右側や真ん中から食べ始める行為はNGです。
背身を食べたら、焼き魚の頭を手で押さえながら尾を降り、尾から頭の方向にスッと骨を引き抜いて、器の向こう側に置きます。
中型〜大型の魚の場合は、焼き魚の裏側の身と骨の間に箸を入れ、持ち上げると簡単に骨を抜くことができます。
食べ終わったら、骨を半分に折って頭とともに器の左奥へまとめておきましょう。
焼き魚の皮が苦手な場合は、残してもかまいません。
焼き魚に醤油や薬味がついてきた場合、わさびを溶かすのはお刺身のケースと同じくマナー違反ですが、赤穂シソやねぎなどの薬味は醤油に入れても大丈夫です。
尾頭付きの焼き魚や、殻や頭がついている貝類やエビの骨や殻を外すときは、箸を使わなければいけないというルールはなく、手を使っても問題ありません。
このとき、懐紙を使うと手を汚さずに外すことができ、また食べ終わったあとは懐紙に骨や殻、頭、皮など余った部分を隠すと上品です。
揚げ物は、野菜や魚の唐揚げ、素揚げ、衣揚げ(天ぷら)などが出されます。
天ぷらの場合、盛り付けを崩さないよう、手前に置かれている味が淡白なものから食べはじめ、後ろに盛り付けられている味の濃いものをあとに食べます。
エビやイカなど噛み切りにくい天ぷらは、お皿の上で箸を用いて食べやすい大きさにちぎるか、何口かに分けていただきます。
何口かに分けていただく場合は、1度口をつけたものはお皿に戻さず食べきりましょう。
このとき、懐紙で口元を隠すと上品です。
お塩でなく天つゆでいただく場合は、衣が崩れないよう少しだけ、天ぷらに一口ずつ天つゆを付けます。
天つゆが垂れてしまわないように天つゆの器を手に取り、器を口に近づけすぎずに口に運びましょう。
会席料理の定番メニューである蒸し物は、茶碗蒸しやかぶら蒸し、酒蒸しなどが出されます。
蒸し物ではなく、煮物・炊き合わせが出されることもあります。
どちらにせよ、アツアツの状態で出てくることが多いため、器の温度をそっと確かめつつ火傷しないように気をつけながら、蓋がある場合はまず蓋を開けます。
椀物の時と同様に、蓋の内側の水滴がこぼれてしまわないよう、左手を添えながら右手で半月を描くように蓋を開け、奥側に置きましょう。
中身を食べる際は、無理に器を持ち上げる必要はなく、箸またはスプーンですくっていただきます。
一口で食べられないものは器の中で切り分けて食べ、煮汁は懐紙や蓋を受け皿にするか、器に口をつけていただいてもOK。
ただし、音を立てずに食べること、中身を混ぜないことがマナーです。
食べ終えたら蓋を元通りに戻します。
ご飯の前に、野菜や魚介類の酢の物や和え物、あるいはサラダなどが出されるケースもあります。
小さい小鉢に盛られていることが多いですが、 一口で食べきらず、何口かに分けて食べられるように調節しながらゆっくり食べましょう。
汁気の多い酢の物は、器を手に持って食べて構いません。
梅肉や酢味噌などが具材の上にかけられている場合は、器の中で混ぜずに、一口分ずつ付けていただくか、もしくはそのままの状態で食べます。
会席料理のコースの締めくくりとして、ご飯と汁物、香の物(お漬物)が出されます。
ご飯はお寿司や炊き込みご飯などが、汁物はお味噌汁などが出されます。
汁物が止め椀(留め椀)と呼ばれるように、この3点が出てきたらお酒の追加注文をストップしましょう。
料理の終わりの合図であるこの3点セットが出されたら、まずご飯を一口食べてから、その後は汁物や香の物とご飯を交互に箸をつけて食べていきます。
このとき、香の物は器から直接口に運ぶのではなく、ご飯が入れられている器を受け皿にして食べるのが良いとされています。
ただし、ご飯の上に香の物を乗せる行為はマナー違反です。
ご飯や汁物はおかわりしてもOKですが、おかわりした器を受け取ってからそのまま食べ始める行為は『受け食い(受け取り)』と呼ばれるNG行為です。
受け取ったあとは必ず1度テーブルに器を置いてから、改めて持ち直して食べるようにしましょう。
ご飯をおかわりする場合は、一口ほど残した状態でお茶碗を差し出し、箸を置いて待ちます。
会席料理のメニューが終わったら、最後に季節のフルーツ盛り合わせやシャーベット、饅頭、ようかんなどのデザート・水菓子と、お茶が提供されます。
フルーツが出た場合は、添えられたフォークなどでさっぱりしたもの・すっぱいものから食べていきましょう。
食べ終わったら、残った果物の種や皮を一箇所にまとめ、懐紙に包んで隠すと上品です。
メロンやスイカの皮は横向きに倒し、みかんの皮は折りたたみます。
饅頭やようかんが出た場合は、それらが乗せられているお皿や懐紙ごと手にとって、添えられている楊枝などの和菓子切で一口サイズに切っていただきます。
蓋がついている暖かいお茶が出た場合は、汁物のお椀と同じ要領で蓋を開け、湯気の水滴を垂らさないように気を付けながら、湯飲みの横に上向きに置いておきましょう。
和食を食べる際にやってはいけないマナー違反の行動をまとめて紹介します。
和食の基本的なテーブルマナーや会席料理の正しい食べ方を知っておくと同時に、NGな振る舞いも知っておき、一緒に食事をとる人々に不快な想いをさせないように気を付けましょう。
食事中の『ながら行為』はどの料理ジャンルでもマナー違反となることが多いですが、 和食においても箸を持ち“ながら”何かをする行為は『嫌い箸』と呼ばれ、マナー違反となります。
以下のような箸の扱い方は嫌い箸と見なされるため注意してください。
また、割り箸の場合は、箸を縦にして左右に割ったり、テーブルの上で割ったり、割り箸の木屑・ささくれをこすって落としたりする行為はマナー違反とみなされます。
お皿やお椀など器に関しても、いくつかのルールがあります。
まず、口に運びかけた物は器に戻してはいけません。
特に食べかけの物は、噛み切った跡や歯型などが見えてしまい見た目が悪いため、箸などを使って一口サイズに切ってから口に運びましょう。
次に、食べ終わった器や蓋は重ねてはいけません。
重ねることで汚れが裏側に広がったりテーブルに付いたりするだけでなく、傷が付く恐れがあるためです。
蓋も同様に、食後は重ねたり裏返しにおくのではなく、元通りにお椀にかぶせます。
そして、 会席料理には持ち上げてよい器と持ち上げてはいけない器があります。
小皿や醤油皿、小鉢、汁椀や茶碗、小ぶりのどんぶり、一人用のお重など、手のひらに収まる器は持ち上げても良いとされています。
ただし、熱い器や重い器など、持ちにくい器をあえて持ち上げる必要はありません。
また、手に取る際はまず両手で持ち上げ、それから左手だけで持つようにしましょう。
一方で、 焼き物や揚げ物、お刺身などが載っている平皿や大鉢、麺類に用いられるどんぶり、大きめのお重など、サイズの大きな器は持ち上げてはいけない器とされています。
手のひらより大きな器は持ち上げてはいけないことを説明しましたが、 机に器を置いたままお料理を口に運ぶ際、左手を受け皿のようにして受け止めようとする行為『手皿』をするのはマナー違反です。
汁気や醤油が垂れそうな料理や落としてしまいそうな料理の場合は、小さい取り皿に移してから持ち上げるか、懐紙を添えて食べるようにします。
手皿のほかに、汁気や醤油が垂れたり、料理を落としてしまうことを懸念して、あるいはマナー違反行為をしないようにと気にするあまり、前のめりになるなど姿勢が悪くなる方がいらっしゃいます。
和食をいただく際、 料理を顔に近づけて食べる行為『犬食い』はマナー違反にあたります。
持ち上げてはいけない器のお料理が提供された場合や正座をしている場合でも、犬食いにならないよう気を付けましょう。
おしぼりは手を拭くためのものですので、顔や首など手以外の部位やテーブル、汚れを拭く行為はマナー違反です。
例えば、机に汁気や醤油などをこぼして汚してしまった場合は、おしぼりで拭かず、お店の方に伝えるようにしましょう。
おしぼりが提供されたら、右手で取り上げて左手に持ち替え、広げて両手を拭きます。
使用後は、拭いた面を内側に入れて折りたたみ、おしぼり台に戻すか、ない場合はテーブルに置きます。
先ほど、和室での座り方についてのマナーを解説しましたが、マナー違反であると判断される振る舞いについてもいくつか説明しておきます。
まず、和室へは素足で入室してはいけません。
靴下またはストッキングを着用してください。
次に、神様が宿っているとされていた、また家紋が刺繍されていることが多かった畳の縁(へり)や敷居を踏むのはNGです。
畳の縁や敷居を踏む行為は、神様やその家のご先祖様への無礼であると考えられていたためです。
また、畳の縁には麻や絹などの繊細な素材が用いられているため、踏んでしまうと傷き、劣化させる恐れがあります。
敷居は、障子や襖の開け閉めによってホコリが溜まりやすく、踏んでしまうとホコリを和室の中へ広げてしまいます。
これらの理由から、戸を開いて和室へ入室する際は、うっかり畳の縁や敷居を踏んでしまわないよう気を付けてください。
そして、座布団を裏返す行為、上に立つ行為や立ったまま座布団を踏む行為、目上の方や招待者に促される前に自ら座布団に座る行為はマナー違反です。
自分が座る場合でも誰かに譲る場合でも、座布団の表面である糸(=房)が出ている方を上にして座るようにします。
座布団に座る際は上に立ったりせずに膝を使って座布団の近くまで寄り、座布団にひざを落としてから座布団に腰を落とします。
立ち上がる際も同様に、座布団から腰を浮かせてつま先を立て、足を座布団の外にスライドさせてから立ち上がりましょう。
自分の座布団も周りの座布団も踏まないように注意が必要です。
さらに、座布団には勝手に座らず、挨拶後に着席を勧められるまで待ちます。
勝手に座布団の位置を移動させたり、引き寄せたりすることも控えましょう。
今回ご紹介したテーブルマナーをご覧いただき、うろ覚えや勘違いをしていた部分なども発見していただいたのではないでしょうか。
現代日本では飲食チェーン店やファーストフード店など、気軽に入ることができる飲食店も数多く存在しますが、日本人として、由緒ある和食・日本料理を楽しむためのテーブルマナーは習得しておきたいもの。
心置きなく快適に和食を楽しむためにも、正しいマナーを身につけ、一緒に食事の時間を共有する相手を思いやった自然な振る舞いを身に付けておきましょう。
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公開日 : 2020/08/11