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四川料理は、チベットに接する中国西部・四川省を中心に食されている郷土料理のこと。
北京(山東)料理・上海(江蘇)料理・広東料理とともに「中国四大料理」のひとつに数えられ、その中でも一番人気の高い料理です。
中国全土に四川料理を提供するレストランが存在しており、現地では「川菜(チュアンツァイ)」の名前で呼ばれています。
その歴史は古く、秦の始皇帝の時代(2200年前)に原形ができたと考えられ、三国時代(1800年前)に「蜀」が四川を統治した頃には食材の選択や調理方法など大方が確立していたそうです。
ということは『三国志』に登場する劉備や関羽、諸葛亮などの蜀の英傑は、日常的に四川料理を堪能していたかもしれませんね。
今では細かく分けて6000種類以上のレパートリーがあるといわれ、華やかな食文化を形成しています。
ところで、四川料理といえば「辛い」というイメージが強いですよね。
よく知られた麻婆豆腐や担々麺も辛口の料理ですし、現地には想像を絶するような辛い料理も存在します。
四川料理の辛さを語るには、「麻辣(マーラー)味」と呼ばれる独特の味覚があることを忘れるわけにはいきません。
通常の料理は、甘味・酸味・塩味・苦味・辛みの5つの味覚で味わいますが、四川料理にはこの「麻辣味」が加わっているのです。
具体的には「痺れを伴う辛さ」。
とても恐ろしい感じがしますが、麻婆豆腐の味が「麻辣味」に該当します。
四川料理の辛さは、麻辣味だけではありません。
麻辣味を含めて、全部で6種類の辛さが存在します。
辛さを演出する香辛料は、上記にあるように花椒・唐辛子のほか胡椒が中心で、四川料理ではこの3種類を「三椒」と呼んでいます。
このように辛い料理が中心となっておりますが、すべての料理が辛口というわけではありません。
6000種類以上ある料理の中で、「辛い」といわれるものは全体の6~7割ほど。
辛くない四川料理のレパートリーには、こちらも有名な回鍋肉や青椒肉絲も含まれます。
四川料理のふるさと・四川省は、海から遠く離れた中国大陸内陸部に位置しています。
周囲を急峻な山岳地帯に囲まれた厳しい盆地にありながら、比較的温暖な気候に恵まれています。
さらに農産物が豊富に採れる肥沃な土地のうえ、中国最大級の淡水湖・瀘沽湖も抱えているので水産物も充実しており、古来より「天府之国(天が与えた国)」と称されてきました。
この恵まれた条件を基盤として独自の食文化を発展させてきたのです。
温暖な気候と食材に恵まれた「天府之国」とはいえ、山々に囲まれた内陸の盆地。
年間を通じて寒暖差が激しく、夏は蒸し暑く冬の寒さは厳しいという特性を持っています。
さらに、大きな湖に面しているため、日常的に湿気が高いという特徴もあります。
そのため、体力を消耗しないよう、スタミナが豊富な辛い香辛料を使った料理は発達してきたといわれています。
インドや東南アジア、メキシコなど暑い国に辛い料理が多いのと一緒ですね。
2000年近い歴史を持つ四川料理ですが、時代の変遷とともに少しずつ変化してきています。
今では重要な味付けのベースとなっている唐辛子は、15世紀の明朝末期に導入されたものです。
また、交通アクセスの向上により、海産物を使った料理もレパートリーに増えつつあります。
辛くてスパイシーな味覚が食欲をそそる四川料理。
日本国内で提供されている料理は、日本人の口に合うようにアレンジされたものが多いようです。
これからご紹介するメニューは定番中の定番ですが、果たして本場ではどんな味なのでしょうか。
四川料理の代表格として、真っ先に名前が挙がる麻婆豆腐。
山椒の効いたピリ辛風味な味わいが特徴で、日本でも根強い人気がある料理です。
しかし、「麻辣味」を彷彿させる、痺れるような辛さとは程遠いような気がしますね。
それもそのはず…日本で普及している麻婆豆腐は、日本人の口に合うようにまろやかにアレンジされたもので、本場の味とは異なります。
麻婆豆腐が誕生したのは、19世紀後半の四川省・成都。
中国では清朝末期、日本では幕末から明治初期にかけての頃です。
成都の北門・万福橋のそばにあった定食屋「陳興盛飯舗」で作られた豆腐料理が発祥といわれています。
このお店を経営していた陳劉さん(陳おばさん)が作った看板料理「紅焼豆腐」が大変な評判となり、やがて中国全土にまで知られるようになったそうです。
紅焼豆腐はやがて「麻婆豆腐」に代わり、お店の名前も「陳麻婆豆腐」の改名のうえ、国有化されて現在に至っています。
ちなみに、麻婆の「麻」はあばたを指し、陳おばさんの顔にあばたの跡があったため、あばた顔のおばさんが作る豆腐という意味になります。
気になる本場の麻婆豆腐の味ですが、日本の麻婆豆腐よりも色が濃く、辛さも激辛です。
花椒を大量に使用しているため、舌が痺れるような刺激的な辛さ(まさに麻辣味)を満喫できます。
トッピングもネギではなく、通常は葉ニンニクを使用。
さらに辛さが倍増しますね。
麻辣の辛さの他にも、香(スパイスの香り)・燙(アツアツ感)・嫩(ねっとり感)・鮮(新鮮な豆腐を使用)など、伝統的な麻婆豆腐には8つの構成要素があります。
辣油と挽肉たっぷりのピリ辛ラーメンとして、日本国内ですっかり市民権を得た「担担麺(担々麺)」。
今や全国各地にB級グルメで登場するなど、高い人気を誇る麺料理ですね。
この担担麺も原形は四川省発祥の伝統料理。
日本で流通しているものとは異なる激辛麺です。
「担担」とは天秤棒のことで、清朝末期の1841年頃、陳包包という人が考案し、天秤棒を担ぎながら成都市内で売り歩いたことが発端とされています。
天秤棒の片側に鍋と七輪を、もう片方に麺や調味料、食器などを吊るして売り歩き、温かくて辛い麺を食べられると大変な評判だったそうです。
天秤棒を担いで販売したことから、本来は「汁なし担担麺」が基本。
一杯あたりの量も少なく、現地では手軽に食べられるファーストフード的な存在となっています。
具材は豚の挽肉とザーサイの細切りが中心で、麺は色の白いストレート細麺が一般的です。
日本ではスープに芝麻醤(チーマージャン)や豆板醤などを使用しますが、本場四川では花椒をたっぷりかけた醤油味がベース。
辣油を使うことは一緒ですが、四川担担麺で使用する辣油はむせ返るほどの辛さがあります。
そのため、辛すぎて日本の担担麺のように飲み干すことは不可能かもしれません。
スープ(というよりもタレ)を麺や具材に絡めて食べるスタイルが一般的ですが、後味を引く辛さが特徴です。
「口水」とは、中国語でよだれのこと。
どことなく汚らしいネーミングですが、実は考えただけでもよだれが出てくるとの賛美の意味合いがあります。
日本国内では知名度が高いとはいえませんが、四川料理専門店などで提供される機会が増え、今や定番の人気メニューです。
茹でた鶏肉を冷やしてスライスし、香辛料や薬味がたっぷり入ったタレをかけて食べる料理で、主に前菜として提供される「冷菜」です。
トッピングのパクチーの風味が爽快で、どちらかといえば東南アジア風のエスニックな味わいがあります。
唐辛子や花椒、辣油やニンニクをたっぷり含んだタレの辛さは強烈で、強者揃いの四川料理のなかでも屈指の激辛料理だそうです。
その強烈な辛さが食欲を刺激し、特に暑い夏の時期に恋しくなる逸品です。
古くから存在した当料理に、口水鶏(よだれ鶏)という奇抜なネーミングがついたのは最近のこと。
四川省出身で中国近代文学の先駆者・郭沫若が、その著書の中で「少年時代に食べた美味しさを思い出しただけでよだれが出てくる」と書いたことから名付けれたとされています。
とろみのある甘辛タレ、プリプリしたエビの食感がたまらない「エビチリ」。
日本で最も人気のある中国料理のメニューですね。
しかし、エビチリを辛いと感じる人は少ないのではないでしょうか。
トマトケチャップをベースにした日本のエビチリは、甘くてまろやかな味わい。
本場中国の味とは全く異なります。
エビチリは中国語で「乾焼蝦仁」、四川発祥の料理です。
「乾焼」とは汁気のない煮込み、「蝦仁」は殻を剥いたエビ(または干しエビ)のことを表しています。
海がない四川で使われているエビは、淡水産のカワエビが一般的で、海産のエビより身が柔らかい特徴があります。
味付けは日本のものと比べものにならないくらいの激辛テイスト。
豆板醤をメインに、たっぷりの唐辛子や山椒、甘酒などを合わせて作ります。
現在中国では純粋な四川料理というよりも、上海で発展した上海風四川料理のものが主流となりつつあります。
こちらは海産の大正海老や芝海老をを使用しており、汁気も残っています。
日本で普及しているエビチリは、こちらの上海風乾焼蝦仁を日本人の口に合うようアレンジしたものだそうです。
暑い夏場に無性に食べたくなる、爽快な料理・棒棒鶏(バンバンジー)。
蒸し鶏の細切りに、冷たくさっぱりとしたゴマダレが絶妙に合い、ビールがすすむ一品ですね。
辛口料理が多い四川料理とはかけ離れたイメージがありますが、こちらも正真正銘の四川料理のひとつ。
本場では辛い料理として提供されます。
棒棒鶏のルーツは古く、100年以上の歴史を持つといわれています。
発祥は四川省の楽山。
ユネスコ世界遺産に指定された「楽山大仏」で知られる地です。
この地で飼育された鶏は肉質がよく、古くから「漢陽(楽山にある地名)鶏」として人気がありました。
楽山では蒸して固くなった鶏肉を柔らかくするめた、棒で叩いて繊維を潰していました。
この棒叩きにちなんで、棒棒鶏を名付けられたといわれています。
楽山の郷土料理だった棒棒鶏は、1920年頃に省都である成都にも伝えられ、有名な四川料理の仲間入りを果たしたそうです。
本場四川の棒棒鶏は、甜麺醤や芝麻醤、辣油や唐辛子などで味付けした激辛料理。
日本の棒棒鶏とは違い、鶏肉以外の具材をほとんど使用しません。
舌が痺れるような辛さが特徴で、一度食べたら病みつきになる食感です。
日本でもすっかりお馴染みとなった回鍋肉(ホイコーロー)。
こちらも四川料理のひとつですが、現地では身近な家庭料理です。
日本ではキャベツを具材に使用した甘辛風味が定番ですが、本場ではキャベツの代わりに「葉にんにく(蒜苗)」を使用します。
味付けも唐辛子や豆板醤をたっぷりと使用した激辛テイストです。
また、具材の豚肉も、日本では薄切り肉を使用することが多いですが、四川では皮つきの塊を使っています。
回鍋とは、一度調理した食材を再び鍋に戻して調理することを指し、調理した豚肉を鍋に戻すから「回鍋肉」となります。
料理人がぐるぐると鍋を回すイメージが想像されますが、実際にはそうではありません。
祭りの貢物として捧げられた豚肉塊を、祭りが終わったあとのお裾分けに美味しく食べられるようにと考えられた料理だそうです。
本場の回鍋肉は、ゼラチンたっぷりの皮つき肉がジューシーな味わい。
ニンニクの風味と唐辛子のスパイシーな刺激がやみつきになる逸品に仕上がっています。
中華定食の定番メニューでもある「青椒肉絲(チンジャオロウスー)」。
ポピュラーな中国料理として、日本だけでなく世界中で人気のある料理として定着しています。
「青椒」とは、ピーマンやししとうなど辛くない緑の唐辛子のこと、「肉絲」とは肉の細切りを指します。
つまり、青椒肉絲とは細切りしたピーマンや肉を炒めた料理ということになります。
見た目そのままですね。
青椒肉絲は四川料理に属するといわれていますが、実際には諸説あります。
沿海の福建料理や広東料理がルーツという説もあり、現在ではオイスターソースや紹興酒を使って甘辛く調理する「広東風」が主流となっています。
しかしながら、豆板醤などを使って辛口に味付けする四川風も健在で、こちらも人気があります。
青椒肉絲に使用する肉は、牛肉を使うこともありますが、本場中国では豚肉を使うのが一般的なスタイルです。
牛肉を使った場合「青椒牛肉絲」という別のメニューになるそうです。
日本ではタケノコを使用することが多いですが、本場中国ではタケノコを使うことはありません。
ルーツは中国四川(広東?)ですが、世界中で愛されている料理のため、各国や地域によりアレンジのバラエティが豊富になっています。
これまで取り上げてきた四川料理の数々は、味付けの違いがあったとしても、日本国内で広く知られているものが中心でした。
しかし、長い伝統を誇る四川料理には、日本ではあまり知られていない絶品の名物料理が多数存在します。
その中から、ぜひとも味わっておきたい極上の料理をまとめました。
日本ではほとんど知られていない料理で、現状では提供するお店も少ないのですが、現地では大変人気のある四川料理です。
具体的にどんな料理かといえば、牛の内臓などに香辛料を聞かせて煮込んだ料理で、日本風に当てはめれば「モツ煮込み」みたいなものかもしれません。
夫妻肺片とは、「夫婦がつくる廃棄した内臓(料理)」という意味です。
何やら訳ありげなネーミングですが、このような誕生秘話が伝えられています。
20世紀初頭の成都の街に、イスラム教徒が多く住んでいる地域がありました。
この地域の屠殺場で働いていた職人・郭朝華は給与が少なく、肉を食べられるのは年に数回だけという貧しい生活をしていたそうです。
そのような生活の中でも夫婦の仲は良く、妻は夫に献身的に尽くしていました。
ある日、夫の仕事場に行った妻が、牛の内臓がゴミとして捨てられているのを目撃。
その内臓を自宅に持ち帰って調理したところ大変美味しい料理ができました。
やがて2人はこの料理を提供する食堂を開いて成功し、その後は裕福に暮らしたとのこと。
当初は「夫妻廃片」という名前だったらしいのですが、「廃」の文字は語感が悪いので「肺」に改めたとのことです。
夫妻肺片は牛タンやレバー、ハチノス(胃)、頭皮などの具材を煮込み、辣油や各種調味料を加えて作ります。
名前に「肺」とありますが、肺は利用しておりません。
新鮮な具材を使用し、下拵えを万全に行っているために臭みが全くないので、内臓料理が苦手な人でも抵抗なく食べられます。
痺れるような辛さを持つ激辛料理です。
宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)という料理名を聞いたことのある人は少ないかもしれませんね。
日本でも人気がある「鶏肉のカシューナッツ炒め」のことですが、こちらは米国で誕生したアメリカ風四川料理「腰果鶏丁」のこと。
腰果鶏丁は米国人の口に合うように「宮保鶏丁」をアレンジしたものですが、今では日本を含めてこちらの料理が主流になってきています。
本家は「鶏肉のカシューナッツ炒め」とは少し味覚の違った料理です。
宮保鶏丁はカシューナッツではなく、ローストピーナッツを具材として使用しています。
細かく賽の目に切った鶏肉とローストピーナッツ、そして外すことのできない四川唐辛子を加え、ネギやニンニク、香辛料を混ぜて炒めれば完成です。
痺れるような四川唐辛子の辛みがアクセントとなる激辛料理に仕上がります。
宮保鶏丁の「宮保」は、清朝時代の役人官職名、「鶏丁」とは賽の目に刻んだ鶏肉を指します。
この料理が広まるきっかけとなったのは、清朝末期に活躍した政府高官・丁宝楨。
民衆から「丁宮保」として慕われた人物ですが、この人のエピソードに因むものです。
貴州省出身で四川の総督に赴任した丁宝楨は、幼い頃に川で溺れて死にかけたことがありました。
この危機一髪の時、地元のおじさんが川に飛び込み、命を救ったそうです。
数十年後、出世した丁宝楨はかつての命の恩人を訪ねたのですが、この時もてなされた料理が「鶏肉のピーナッツ炒め」。
あまりの美味しさにすっかり感動した丁宝楨は、この料理を四川の調味料でアレンジし、地域の名物料理として広めるきっかけとなりました。
こちらも日本では殆ど知られていない、現地では有名な四川料理のひとつです。
一口大に切った牛肉を油入りの汁で煮込んだ料理で、花椒や唐辛子をたっぷり使用した超激辛味に仕上がっています。
牛肉の他にナマズやソウギョなど淡水産白身魚を使ったレパートリーもあり、こちらも含めて「水煮肉片」とも称されています。
花椒や唐辛子、豆板醤などの香辛料を多めの油で熱し、香りと辛みが強い煮汁を作ります。
沸騰した煮汁に白菜などの野菜を加え、下拵えした肉を入れてさらに煮込みます。
仕上げとして再び花椒や唐辛子を追加して完成します。
「水煮」というあっさり淡白なイメージとは全く異なる、濃厚な辛さが後を引くスープとなります。
この料理の起源は古く、10世紀の北栄時代にまで遡るとされています。
当時の四川省・自貢市は井塩の大産地として知られ、塩の発掘に伴う動力として大量の牛が動員されていたそうです。
しかしながら、井塩の枯渇したため作業員への賃金が滞りるようになり、仕方なく「現物支給」として、現場の牛を肉として支払うことに。
最初は渋った作業員たちですが、支給された牛肉を塩水で煮て食べてみると意外や美味。
たちまち人気料理となり、悠久の年月を経て現在の形になったといわれています。
酸辣湯(スーラータン)の名前は、中国料理店の麺類メニューでご存知の方も多いと思います。
インスタントラーメンとしても販売されている麺類「酸辣湯麺」は、実は日本発祥の料理です。
本場の酸辣湯は、あまり麺を加えて食べることはありません。
この酸辣湯、酸味と辛みは絶妙に絡み合った、特に夏の時期に食べたくなるスープです。
「酸辣湯」とは、文字通り酸味と辣味(辛さ)のある湯(スープ)のこと。
豆腐や鶏肉、きくらげやネギといった具材を塩や醤油、生姜汁で調味し、たっぷりの酢と唐辛子、胡椒などを加えて作ります。
仕上げに片栗粉や溶き卵を加えると、とろみが魅力の中華スープが完成します。
四川で味わう酸辣湯は、唐辛子など辛い調味料の量が多いので、酸っぱさよりも辛さを感じるかもしれませんね。
四川料理として知られていますが、湖南料理がルーツだという説もあります。
重慶周辺の郷土料理で、魚の切り身と酸菜を煮込んだ辛いスープです。
酸菜とは高菜や白菜を発酵させた漬物のことで、唐辛子や花椒といった辛い香辛料と切り身魚を一緒に煮込んで作ります。
使用する魚は中国原産の淡水魚・ソウギョなどを使用することが多いようです。
乳酸発酵した酸菜の酸味と塩味、魚の旨味、唐辛子や花椒の辛味が絶妙に混ざった味に特徴があります。
重慶周辺では古くから食べられてきた料理ですが、中国全土で知られるようになったのはわずか30年ほど前のこと。
1990年代に重慶の料理がブームとなった影響を受けて、知名度が上がってきました。
日本ではまだ馴染みのない料理ですが、今後の動向が楽しみです。
この料理は起源が古く、ルーツも諸説あります。
重慶の川辺で漁をしていた漁民が、商品価値のない小魚と漬物(酸菜)を物々交換した結果、偶然に生まれたという説が有力です。
ユニークな説としては、とある夫婦が酸菜汁と魚の煮込みを作って食べようとしたのですが、ちょっと目を離した隙に魚が酸菜汁に飛び込んだしまい、できあがった料理というのもあります。
いずれにしても、重慶の江津県から始まったことは共通しています。
日本では殆ど知られていない激レア料理ですが、その実態を知ったら抵抗を感じる人も少なくないはず。
そもそもの名前からして「毛」と「血」が「旺」盛?…不気味な感じがして気になりますね。
毛血旺は、アヒル(または豚)の血をベースとした真っ赤な汁に、豚や牛など動物の内臓を煮込んだスープのことです。
使う内臓も胃や腸のほか、頭の皮や肺、大動脈などあらゆる部位が入っており、見るからにグロテスク。
とても美味なスープと聞いても、ほとんどの人が敬遠したくなるかもしれません。
実際のところ、毛血旺は内臓からの旨味がたっぷりの美味しいスープです。
唐辛子や花椒などの辛口香辛料をたっぷりと使用するので、激辛風味に仕上がります。
レタスやもやし、きくらげなど野菜類も一緒に煮込むことと、新鮮な血液や内臓を使って調理しているため、気になる生臭さも感じられません。
現地で食べてからハマってしまい、帰国後この味がとても恋しくなる人が激増しているほどです。
気になる名前の由来は、「血旺」が血の固まり、「毛」は手を加えていないという意味。
つまり、血をそのまま使った料理という恐ろしいネーミングですね。
今から70年ほど昔、重慶の磁器口で露店を開いていたおばあさんが考え出したといわれています。
動物の内臓だけでなく、ウナギや小魚、タコやイカなどの魚介類を使ったヴァリエーションも存在します。
鶏の唐揚げをベースに、大量の唐辛子や花椒で味付けした超激辛料理・辣子鶏(ラーズーチー)。
あのアントニオ猪木さんも大好物の料理だそうです。
日本国内での知名度は高くありませんが、トリカラ料理と聞けばきっと美味しそうで、ぜひとも食べたい気分になりますね。
事実、日本で提供しているお店では手羽先やもも肉の唐揚げや竜田揚げをアレンジしているところも多いようです。
辣子鶏は重慶を発祥とする代表的な四川料理のひとつです。
皿が真っ赤になるほど大量の唐辛子をトッピングしていますが、こちらはあくまでも味付専用であって食べることはありません。
しかしながら、既に唐辛子パウダーや花椒で下拵えしているため、とんでもない激辛味に仕上がっています。
辣子鶏の魅力は、辛さだけではありません。
一緒に煮込む長ネギなどの香辛野菜と花椒が醸し出す痺れるような味覚、表面がカリカリで中味がジューシーに仕上がった唐揚げの歯ごたえ、色々な風味と香りが混ざった絶妙な美味しさにあります。
辛い料理が苦手な人でも食欲を刺激され、美味しい唐揚げを存分に満喫できること間違いありません。
「火鍋」とは鍋料理のこと。
その起源は古く、内モンゴルの遊牧民が食べていた羊肉料理が発祥ともいわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。
唐の時代(日本では平安時代)にはかなり普及していたようで、歴史の変遷を経て、今では中国全土にバラエティに富んだ火鍋料理が存在しています。
四川周辺における火鍋料理は、100年ほど昔の重慶から始まったといわれています。
重慶に住む港湾労働者たちが、食用とされず廃棄処分されていた動物の内臓を拾い集め、香辛料を加えて作ったのが「四川火鍋」のはじまりです。
今では四川火鍋は四川だけではなく、中国全土でも愛される料理にまで成長しました。
中国の火鍋は、日本風に例えると「しゃぶしゃぶ」のようなものです。
熱いスープに肉などの具材を湯がいて食べるスタイルです。
四川では、肉よりも内臓系の具材が中心になっている特徴があり、時間をかけてしっかりと煮込みます。
主な具材は、牛肉・羊肉、牛や豚の胃や腸など定番内臓系のほか、アヒルの血液(血豆腐)や水かき、豚の脳みそ、動脈など日本ではまず食べない変わりダネも含まれています。
また、野菜や魚介類の具材も人気があります。
四川火鍋のスープには、辛くないもの(白湯)と辛いもの(紅湯)の2種類があります。
ひとつの鍋に仕切りがあり、白湯と紅湯を具材に合わせて使い分けるスタイルも普及しています。
白湯は野菜など淡白な具材、紅湯は肉や内臓系の具材に使われることが多いようです。
紅湯スープは、これぞ四川料理!という感じの超激辛な味付けで、四川ではこちらの方が人気です。
文字通り唐辛子たっぷりの赤いスープで、花椒や豆板醤、紹興酒のほか、お店によってはクミンやカルダモン、羅漢果などを含めます。
暑い夏を乗り切るためのスタミナ源として、または寒い冬は発汗作用を促して身体を温めるために、年間を通して愛されている料理です。
日本国内からも直行便が運航されている四川省は、ジャイアントパンダの生息地、『三国志』ゆかりの地としても知られ、観光資源も豊富です。
郊外にはユネスコ世界遺産に指定された名勝「九寨溝」や楽山大仏・峨眉山など、絶景の見どころもたくさんあります。
観光を楽しみながら、本場の激辛四川料理を楽しんでみてくださいね。