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毛皮のコートを着たニシン シリョートカ・パト・シューバイ(Селёдка под шубой)
キエフ風チキンカツレツ(Котлета по-киевски)
ロシア料理は、ロシアの広大な自然の恵みの中で育まれてきた料理です。
凝ったソースやスパイスの利用はあまりなく、自然の食材をシンプルに塩やハーブで味付けした「素朴な味わい」が大きな特徴と言えるでしょう。
春には山菜を摘み、夏の週末はダーチャと呼ばれる別荘へ。
そこの家庭菜園で採れた野菜や森の恵みのベリーを楽しみます。
秋には黄金の森できのこ狩り。
長くて寒い冬に備えて、塩漬け肉や塩漬けキャベツを仕込む。
そんなロシアの厳しくも豊かな自然と向き合う生活の知恵が、現在のロシア料理のベースとなっています。
ロシア料理ではあまり変わった調味料は使われませんが、「ロシア料理らしさ」を感じられる食材はあります。
ここでは、ロシア料理でよく使われる食材をご紹介します。
日本ではあまり馴染みのない食材ですが、ロシアでは毎日のように使用される真っ赤な色が特徴の野菜です。
見た目は赤かぶと似ていますが、実はほうれん草の仲間なのです。
ビーツは「飲む輸血」と言われるほど栄養が豊富。
リン、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、カルシウム、亜鉛、葉酸といったミネラル分が多く含まれ、疲労回復に効果があると言われています。
ロシア料理で非常に多く使われるのが乳製品です。
特に頻繁に利用されるのがスメタナ(Сметана)という、クリームを乳酸発酵させて作ったサワークリーム。
ロシア人にとっては単なる調味料以上の存在であるとのことで、パンに塗ったり、スープに入れたり、デザートにしたりと、ロシアの食卓のあらゆる場面でスメタナが登場します。
日本ではほぼ入手できない調味料ですが、水切りヨーグルトに生クリームを合わせたものが、比較的味が近いと言われています。
塩こしょうのシンプルな味付けが特徴のロシア料理では、風味付けにハーブを利用します。
特にロシア人が愛してやまないのがディル。
ロシアではウクロープと呼ばれる、細く繊細な葉と爽やかな香りが特徴の地中海沿岸原産のセリ科のハーブです。
日本だとスモークサーモンに添えて出されることが多いですが、スープやサラダにどさっと加えるのがロシア流。
ディルの少し懐かしいような香りに包まれ、料理に一気にロシアらしさが加わります。
北アメリカの植物だったひまわりが、ロシアに入ってきたのは16世紀頃のこと。
当時のロシア正教会では断食を行う習慣があり、その期間中は油脂の摂取も禁止されていました。
しかし、未知の食品であったひまわりはその禁止リストから漏れていたため、人々はひまわりを栽培し、その種や油を食用として広く用いるようになりました。
このような経緯もあり、現在でもロシア料理では基本的にひまわり油を使用します。
ひまわり油の生産量は隣国ウクライナが1位、ロシアが2位であり、地平線まで広がる広大なひまわり畑は今やウクライナを象徴する風景となっています。
ロシア料理ではザクースカ(Закуска)と呼ばれる前菜の種類がとても豊富です。
テーブルいっぱいにサラダや燻製した魚とお肉を並べ、ウォッカとともに頂きます。
冷製のものが多いですが、ブリヌイなどの温かい食事も含まれます。
オリヴィエサラダは、角切りにした肉、ハム、卵、にんじん、じゃがいも、ピクルスなどと香草をマヨネーズで和えたロシア風ポテトサラダです。
1800年代にモスクワのホテル「エルミタージュ」のオリヴィエシェフが考案したことが名前の由来となっています。
このサラダはロシアの正月料理としても親しまれています。
ビーツ、にんじん、じゃがいも、ピクルス、塩漬けキャベツ、玉ねぎをひまわり油で和えたサラダです。
鮮やかな色とさっぱりした味わいが特徴的な一品で、オリヴィエサラダと並ぶロシア料理の代表的なサラダとなっています。
小麦粉、卵、牛乳、ヨーグルト、砂糖、塩などを混ぜ合わせた生地に、イーストを加えて発酵させ、フライパンで薄く焼き上げたロシア風クレープです。
小麦粉の代わりにそば粉で作られたものも人気です。
そのままスメタナを塗って食べたり、スモークサーモンを乗せて食事にしたり、ロシア風ジャムのヴァレニエ(Варенье)とカッテージチーズを添えてデザートにしたりと楽しみ方はいろいろ。
イクラやキャビアを乗せた豪華なブリヌイもあります。
ちなみに、ロシア語で魚卵は全て「イクラ(икра)」。
鮭の魚卵は「赤いイクラ(クラースナヤ・イクラ)」、チョウザメの魚卵は「黒いイクラ(チョールナヤ・イクラ)」と呼び分けます。
小麦粉で作った皮に肉や野菜を詰めたロシア風水餃子で、モンゴルのブリヤート族の影響を受けた料理と言われています。
シベリアでは、冬になるとペリメニを一気に沢山作り、外に吊るして冷凍保存します。
中国の餃子とは異なり、帽子の形に包むのが特徴的です。
そのまま茹でるほかに、スープに入れたり、スメタナとハーブを添えることもあります。
一風変わった名前のこの料理は、ロシア料理の定番の前菜。
酢漬けのニシン、じゃがいも、にんじん、卵、ビーツ等をケーキのように盛り付けた様子が、まるでニシンが野菜のコートを纏っているように見えるとのことからこのような面白い名前が付いたそうです。
見た目にも鮮やかな料理なので、お正月やパーティーなどのお祝いの席に登場することも多いようです。
寒冷な気候のロシアでは、体温まるスープが好まれてきました。
具材たっぷりのスープと黒パンで、簡単な食事とする人も多いです。
ボルシチは元々はウクライナにルーツを持つ料理ですが、現在ではロシア料理として広く定着し、ウクライナ風、モスクワ風など様々なレシピがあります。
材料は牛肉、じゃがいも、にんじん、キャベツ、ベーコンと多様ですが、どれにも共通するのがビーツを使うということ。
ボルシチの鮮やかな色はビーツで作られたものなのです。
ボルシチは暖かいものが一般的ですが、夏には冷たいボルシチも登場します。
スメタナを混ぜ、鮮やかなピンク色に仕上げます。
日本人にとってのお味噌汁のような立ち位置のスープ。
生または塩漬けのキャベツと肉を煮込んだ、シンプルでありながらもロシア人の日常に欠かすことの出来ない料理です。
特に塩漬けキャベツを用いたシチーは乳酸発酵の酸味が効き、「酸っぱいシチー」と呼ばれます。
「実の父よりもシチーは飽きることがない」という諺があるほど、国民的に愛されているスープです。
細かく刻んだキュウリ、たまねぎ、じゃがいも、卵、ハムにクワスという黒パンから作った飲料を注いで作る冷製スープです。
さらに、ケフィールを加えてミルキーなスープとして食べることもあります。
クワスの微炭酸が爽やかな不思議な感覚のスープなので、異国情緒ある料理を食べてみたい方におすすめです。
ヨーロッパの料理というと肉料理を想像しがちですが、広大なロシアでは川や湖の淡水魚を食べる文化が発達しています。
サケ、タラ、スズキ、サワラ、チョウザメなどの白身魚を使ったスープのウハーもその一つ。
魚とたまねぎを煮て、塩こしょうで味付けしたシンプルな料理なので、ロシアの家庭でもよく作られています。
一般的には1種類の魚を使用して作るため、「タラのウハー」「チョウザメのウハー」のような料理名になります。
チョウザメの卵はキャビアとして有名ですが、実は身も脂がのっていて、フグのような食感があり美味しいですよ。
みじん切りにしたトマト、ピクルス、オリーブ、レモン、たまねぎなどが入った酸味のあるスープです。
メインの具は、ベーコンやソーセージなどの肉類の他にチョウザメの魚も使われることがあります。
風味付けにケッパーやオールスパイス、胡椒などの香辛料も使用し、複雑な味わいが特徴的です。
ロシア料理のコースでは、前菜とスープの後にメインディッシュが続きます。
日本人にとっても馴染みある洋食が多いです。
牛肉、玉ねぎ、きのこをバターで炒めたものをたっぷりのサワークリームで煮込んだ料理です。
サンクトペテルブルクの貴族であるストロガノフ家のコックが、歯の弱くなった当主のために考案したのが名前の由来と言われています。
バターライス、茹でたじゃがいも、パスタなどを添えて頂くのが一般的です。
日本でも有名な料理ですが、ぜひ本場の味を試してみてください。
壺に入ったシチューの上にパン生地を乗せて焼き上げた、いわゆる「壺焼き」です。
ガルショーク自体が「壺」という意味のロシア語なので、中身はビーフシチュー、ボルシチ、きのこのクリーム煮、蟹入りクリームシチューなど様々。
最もポピュラーなきのこの壺焼きはガルショーク・ス・グリバーミ(Горшок с грибами)と呼ばれています。
香ばしく焼きあがったパンに熱々のシチューを浸して食べれば、幸せな気分になること間違いなしです。
叩いて伸ばした鶏の胸肉に、ディル、チャイブなどのハーブをたっぷり練りこんだバターを挟み込み、衣をつけて揚げた料理です。
切ると断面からとろ~りと溶けたバターが溢れ出します。
さっくり揚がったチキンカツと香草の香り豊かな風味が抜群に美味しい一品です。
ロシア風のロールキャベツです。
つなぎの代わりに米を入れるのと、煮込む前にキャベツに焼き目をつけるのが、日本のロールキャベツとの大きな違い。
仕上げにはたっぷりとサワークリームを使うので、濃厚でこってりした味わいですよ。
旧ソ連は15ヵ国から構成される広大な国でした。
その影響で、現在でもロシアには旧ソ連の構成国の人々が数多く住んでいます。
すっかりロシア馴染んだ各共和国の料理は、エキゾチックな味わいでますます人気を集めています。
ウズベキスタンをはじめ、中央アジアで広く食べられているスパイシーな炊き込みご飯です。
カザンという大きな鉄鍋に、米、羊肉、羊の油、にんじん、たまねぎ、香辛料を入れて炊き上げ、干しブドウやヨーグルトをトッピングします。
少し脂っこい料理ですが、にんじんをたっぷり入れて炊いたプロフは甘く、コリアンダーやクミンなどのスパイスも効いて癖になる味わいです。
ソ連時代を通じてすっかりロシア料理として定着した一品です。
シルクロードを代表する料理として知られているラグマン。
シルクロードの中継地である中央アジアでも食べられている、トマト風味の麺料理です。
牛スープにトマトペーストを加え、羊肉、野菜、唐辛子と一緒に煮込んだものを、太目の手延べ麺にかけて食べます。
肉と野菜の出汁が良く効いた汁とツルツルの麺の食感が絶妙です。
都市に住むロシア人の多くは、ダーチャと呼ばれる別荘を郊外に持ち、週末は家庭菜園などをしながら過ごします。
そこで行われるバーベキューに欠かせないのが、シャシリクという肉の串焼き。
肉をニンニク、タマネギ、クローブ、ローリエ、オリーブオイル、ワインなどで作った漬け汁に一晩漬け、炭火で香ばしく焼き上げます。
中央アジアのケバブに起源をもつ料理ですが、現在ではロシア人のバーベキューの定番として定着しています。
実は日本人の口にとても合うと言われているジョージア(グルジア)料理。
ヒンカリとは大きな小籠包のようなもので、ひき肉とハーブで作った具を小麦粉の皮で巾着のような形に包み、蒸しあげて作ります。
ジョージアはワインの産地としてもとても有名なところなので、ジョージア料理のレストランに行く機会があれば、ワインも合わせてどうぞ。
古くは宗教上の神聖な食べ物として扱われていたパン。
ロシア人とパンの歴史は長く、パン屋さんを覗くと、種類がとても豊富なことに気付きます。
好みの割合で粉を配合し、家庭でパンをこねることもよく行われているようです。
日本のピロシキというと具を包んだ揚げパンのイメージですが、ロシアでは焼いたものの方が一般的です。
具の種類もロシアでは多種多様。
肉の炒め物、卵、キャベツ、じゃがいも、カッテージチーズなどの他、ジャムを包んだ甘いものもあります。
レストランでももちろん食べられますが、軽食として町の至る所で販売もされているので、食べ歩きにもおすすめです。
ロシアでパンと言えば、ライ麦をたっぷりと使った黒パンを指します。
イーストの代わりにサワードウを使って作る黒パンは、少し重くて酸味のある味。
硬めなので薄切りにしてバターやサワークリームを塗ったり、スモークサーモンやイクラを乗せてオープンサンド風にして食べるのも好まれます。
様々な種類の黒パンがあるものの、代表的なのがボロジンスキーと呼ばれるライ麦の割合の高いパン。
独特な風味ですが、慣れると癖になる味わいです。
ロシアの飲み物というとウォッカのイメージがありますが、ノンアルコールの変わった飲み物もたくさんあります。
どれもスーパーで手軽に手に入るものばかりです。
黒パンを発酵させて作るロシアの夏の定番の飲み物です。
「パンから作った飲み物ってどんな味?」と疑問に思われると思いますが、強いて言えば「麦茶を甘くして炭酸を加えたような味」といったところでしょうか。
初めて飲んだ時は不思議な味と感じると思いますが、慣れると香ばしい風味が癖になります。
かつては路上に並ぶクワスの大きなタンクが夏の風物詩でしたが、現在ではペットボトルや缶のタイプが主流です。
世界最深を誇るロシアを代表する湖・バイカル湖。
シベリアの自然に囲まれたこの湖の名を冠する炭酸飲料は、ソ連時代の1969年、西側のコカ・コーラの代替品として発売されました。
見た目はコーラそっくりですが、オトギリソウ、スペインカンゾウ、ウコギエキス、ユーカリ、レモン、ローリエ、モミの精油などが配合されており、健康飲料という触れ込みだそう。
炭酸はコーラより弱めです。
酸味が強くて甘味のない、飲むヨーグルトのような発酵飲料です。
そのまま飲むだけでなく、パンケーキを焼くときに加えたり、スープに入れたり、シャシリクのマリネ液に使ったりと活用の仕方は多様。
かなり酸っぱい飲み物なので、スーパーには加糖のもの、フレーバー付きのものなども売られています。
ケフィールは美容への効果も抜群。
細い身体を保ちつつもスタミナを必要とするバレリーナにも、愛飲されている方が多いようです。
ロシアは世界有数のお茶の消費量を誇る国。
ロシアンティーというとお茶にジャムを入れたものを想像するかもしれませんが、本来はジャムを添えて楽しむものだそうです。
ぜひ、ロシアのお茶と一緒に甘いロシアンデザートを楽しんでみでください。
ロシアの夏の風物詩と言えば露店販売のアイスクリームです。
ロシア人はみんなアイスクリームが大好き。
夏はもちろん、寒い冬でも「溶けないから食べやすい」と言って平気な顔で食べているようです。
ロシアのアイスクリームはとても濃厚なのが特徴で、スカタンチク(Стаканчик)という形のコーンに入ったアイスクリームが人気です。
現地に行ったらぜひ食べておきたいロシア料理をご紹介しました。
日本でも知られているメニューから、初めて聞くような料理や飲み物まで、奥深いロシア料理の世界を少しだけ垣間見られたかと思います。
ロシアは2泊3日でも行ける身近なヨーロッパとして、風景や文化はもちろんのこと、食の面でもとても楽しめる国です。
ロシアを訪ねる機会があったら、ぜひ名物料理を堪能してきてくださいね!
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最終更新日 : 2022/02/22
公開日 : 2019/06/13