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<有名料理のオンパレード!広東で食べたいおすすめの一品料理>
広東料理とは、南シナ海に面した中国南部の広東省を中心に食されている郷土料理のことです。
北京(山東)料理・上海(江蘇)料理・四川料理とともに「中国四大料理」のひとつに数えられており、その中でも最も世界的に普及している料理です。
理由としては中国から海外へ移住した人々のうち、広東出身者の比率が高かったことが挙げられ、海外移住に伴い全世界的に広まることになりました。
横浜の中華街や神戸の南京町も広東系移民が多数を占めるため、広東料理店が主流となっています。
一口に広東料理といっても、実際にはこの周辺にある複数の料理が混在しています。
広東省最大の都市・広州を中心とした「広州料理」と、その郊外エリアで食べられる「順徳料理」「客家料理」「潮州料理」の4料理で構成され、その総称となっています。
特に広州料理の評価は高く、「食は広州にあり(食在広州)」と絶賛されているほどです。
また、古くから外国との交易が盛んで、異文化をどん欲に取入れてきた歴史があります。
現在の広東料理は広州料理を中心に他の地方料理が融合し、さらに東南アジアやインド、イギリスやポルトガルなど西洋料理の影響を受けながら形成されていると言えます。
広東地域は温暖な気候に恵まれているため、多様な野菜や果実の収穫が可能です。
また、海に面しているために、非常に多くの海産物も水揚げされます。
こうした恵まれた環境から、料理に使う食材がとても豊富です。
パイナップルやマンゴーなどのトロピカルフルーツを使った料理や、フカヒレや燕の巣、アワビなど高級食材を使った料理も広東料理の特徴と言えます。
その他、食用とされないようなものを使った料理も多く存在します。
「広東人は飛ぶものは飛行機以外、泳ぐものは船や潜水艦以外、四つ足は机と椅子以外、二本足は人間以外なんでも食べる」との比喩は、中国人の間でも有名です。
例えば「龍虎鳳」という高尚な名前の料理がありますが、この料理に使われる食材の「鳳」=鶏肉はともかく、「虎」はネコ肉、「龍」はヘビ肉となると "!?" という感覚になりますね。
さらにクジャクやハクビシン、ヤマアラシやセンザンコウなどの野生動物を使った料理もあるそうで、「野味(中国版ジビエ)」の食材として町の市場などで販売されています。
我々日本人を含めた外国人が口にすることはないと思いますが、こんなものまで食材にしてしまう広東料理の奥深さには驚くばかりです。
広東料理は、一般的にあっさりした薄めの味付けです。
豊富な素材の持ち味を充分に引き出すため、敢えて存在力のある調味料などを使用しないそう。
料理に使用する調味料は、塩胡椒や砂糖、醤油などが中心で、料理によってはオイスターソースやXO醤などで味付けしています。
総じて日本人には慣れ親しんだ「中華料理」の味であり、四川料理など他の中国料理よりも身近な存在と言えるでしょう。
古くから海外との交易が盛んだった土地柄もあり、外国から取り入れた料理方法や調味料で味付けした料理も多く存在します。
カレー粉やトマトケチャップのほか、ヨーロッパの影響を受けたカスタードクリームなどを使用した料理もあり、こちらにも広東料理の多様性が感じられます。
しゅうまいや小籠包などの点心(軽食)のことを飲茶(ヤムチャ)と呼ぶこともありますが、本来は名前の通り茶(中国茶)を飲みながら点心を食べることを指します。
広東省の他、隣接している香港やマカオでは日常的に行われている習慣であり、日本でも中国料理店などで提供されているためご存知の方も多いかもしれません。
烏龍茶やジャスミン茶などの中国茶は消化を促進する作用があり、濃いめの味付けである点心との相性が良いことから、飲茶になくてはならない存在となっています。
飲茶によく合う点心といえば小籠包と餃子が知られていますが、実は小籠包は上海料理、餃子は北京料理(華北)が起源となっており、広東地域ではあまり食べられておりません。
また、他の地域では中国茶ではなく、粥や麺類とともに点心を嗜む傾向があります。
一方、広東地方や隣接している香港では、朝食として飲茶を楽しむ人も多く存在し、提供しているホテルやレストラン、飲茶専門店では早朝から大変な賑わいです。
現地を訪問した際には、ぜひ本場の飲茶を体験してみてください。
焼売は、広東料理で最もポピュラーな点心のひとつです。
そうとはいっても広東発祥というわけではなく、実際には北京や内モンゴルなど華北地域の発祥と言われています。
今では中国全土に普及していますが、その形状や味付けは地域によって異なります。
華北地域の焼売は大麦主体の皮を使った巾着状の形をしていますが、広東では小麦粉をベースにした皮を使い円柱状に仕上げます。
日本でもよく知られている焼売の典型的なスタイルです。
この広東風焼売が世界的に流通しており、「シュウマイ」という言葉も広東語に由来しています。
使用される餡は、豚肉と野菜を合わせたもの、あるいはエビやカニ、椎茸を具材にしたものなど様々です。
日本の焼売に比べて濃いめの味付けとなっているので、醤油など調味料をつけなくても美味しく食べることができます。
横浜をはじめ日本各地のご当地グルメとしても、冷凍食品の惣菜としても認知度が高い焼売ですが、本場の味は格別です。
本格的な中国茶と一緒に、ぜひ現地で味わってみてください。
こちらも「えび餃子」の名前で、日本でも人気のある点心のひとつです。
蒸すと透明になる涼し気な見た目から、「水晶餃子」の異名を持っています。
広東発祥の点心とされ、広東地域の飲茶で広く食されています。
その名前の通り、具材にエビが使われているのが大きな特徴です。
皮は片栗粉と浮き粉を混ぜて作られ、こちらを蒸すと半透明な状態に仕上がります。
滑らかな表面とオレンジ色のエビが透けた外観は見た目にも美しく、食欲をそそります。
プルっとした皮と、プリプリのエビの食感がたまらない一品です。
この水晶蝦餃はうまく作るのが難しく、点心料理人の技の巧拙を決する料理とも言われています。
皮は薄く半透明に仕上げなければならないことはもちろんですが、箸でつまみ上げた時に破れない程度の強度も要求されます。
また、一口大の小さな餃子になるべく多くのヒダを作る必要があり、最低7か所、できれば10か所以上作らなければなりません。
紙や蒸籠内の他の蝦餃と付着しないようにしなければならないこと、なるべく多くの具材を詰め込まなければばらないなど、他にも厳しい条件がいっぱい!
そんな厳しい条件をクリアして提供される水晶蝦餃は、点心の芸術品にふさわしい風格があります。
横浜中華街の食べ歩きグルメとしても人気の「ごま団子」。
「芝麻球(チーマーカオ)」または広東語で「煎堆(チントイ)」と呼ばれる広東料理発祥の点心です。
胡麻餡を浮き粉や白玉粉で包み、周りに白ごまや黒ごまをまぶしてから油で揚げて作ります。
アツアツな食感と、煎りごまの香ばしさがたまらない一品で、思わず何個でも食べたくなってしまいますね。
煎堆の歴史は古く、今から2200年以上昔の漢の時代にまで遡るといわれています。
第5代皇帝だった文帝が戦勝を祝って開いた「元宵節」で提供されたのがはじまりだそうです。
元宵節は今でも正月15日に行われており、この時期には煎堆を食べる習慣が残っています。
モチモチとした食感が魅力的で、揚げたてを食べるのがベストですが、冷めても美味しく食べられる一品です。
飲茶としてはもちろんのこと、料理を食べた後の締めのデザートとしても重宝されます。
また、胡麻餡のほか、小豆の漉し餡や蓮の実餡を使用するなど多くのバリエーションが存在します。
餡を入れずに中身を空洞のまま膨らませた「功夫麻球」というメニューもあるので、色々と食べ比べてみてください。
町の中華屋さんの定番メニューとして知られる料理にも、実は広東料理をルーツに持つものがたくさんあります。
日本人の味覚にもピッタリで、小さな子供からお年寄りまで愛される有名料理をまとめてご紹介します。
中国風に「古老肉」と書くと何のことだか判りませんが、日本でもお馴染みの「酢豚」のことです。
酢豚という料理名は日本で付けられたもので、本場広東では通用しません。
豚肉を酢漬けしたものが原型とされ、これを油で炒めたものが酢豚のルーツと言われています。
それなら酢豚でもよさそうな気がしますが、古老肉はもぐもぐと食べる肉という意味です。
長崎など九州地方では「酢排骨」の名称でも知られ、欧米人にも人気の高い料理です。
角切りにした豚肉と唐揚げに素揚げした野菜を片栗粉で溶き、酢や砂糖、醤油を合わせて作った甘酢餡に絡めて炒めます。
使用する野菜は日本と同じようにピーマンや玉ねぎ、人参や椎茸などが中心です。
酢豚といえばパイナップルが入っている場合がありますが、現地広東でも同様のスタイルが見られます。
この調理法は伝統的なものではなく、19世紀後半の清の時代から始まったと言われています。
欧米人の居留地にあったレストランで、彼らの好みに合うように当時高級品だったパイナップルを使い始めたのが最初です。
甘みを加えるだけでなく、果実に含まれるタンパク質分解酵素の働きによって、肉を柔らかくする効能もあるそうです。
お店によっては肉と野菜だけのスタンダードなもの、またリンゴやサクランボ、サンザシやケチャップなどを加えて甘さを強めたものなど様々な酢豚があります。
北京など華北地方では、豚肉だけを黒酢で炒めた真っ黒な「黒酢豚」というメニューも人気があるそうです。
日本では「かに玉」の名前で知られる人気の中華料理です。
現地では「芙蓉蛋(フーユータン)」とも呼ばれており、溶き卵のカニ肉や野菜を入れて半熟のオムレツに仕上げます。
トロトロの甘酢餡を上からかけたら完成です。
広東料理にルーツがあると言われていますが、調理法は上海料理に由来しているとされます。
別名にある「芙蓉」とは、ハイビスカスに似た白い花を咲かせる南国の花のこと。
この料理が芙蓉の花のようにフワフワしていることから名付けられたと言われています。
似たような名前の料理に「芙蓉蟹(カニ肉の淡雪煮)」というものがありますが、こちらは玉子の卵白のみを使った白い料理です。
これに対して蟹肉炒蛋(芙蓉蛋)は、玉子を全て使って作ります。
蟹肉炒蛋は広東を中心とした中国だけでなく、アレンジしたものも含めてタイやインドネシアなど東南アジアやイギリス、オランダなどヨーロッパ諸国でも食べられています。
なお、米飯に蟹肉炒蛋をかけた「天津飯」は日本発祥の料理で、名前の由来である天津を含めて中国本土には存在しないそうです。
居酒屋や中華料理店で定番の人気メニュー「油淋鶏(ユーリンチー)」。
広東省発祥の鳥肉料理です。
日本では鶏の唐揚げに甘辛のねぎソースをかけた料理というイメージが強いですが、本場で食べる油淋鶏は全く異なります。
日本風の油淋鶏は、現地では丁寧に「日式油淋鶏」と区分けされているほどです。
名前にある「油淋」とは、少ない油を肉にかけながら揚げる調理法のことを指します。
その通り鶏肉に少量の油をかけ、醤油ベースのソース、酢や長ネギを合わせながら焼き上げます。
日本では鶏肉に衣をつけるスタイルが一般的ですが、中国では衣がない方が多数派です。
そのため、油っぽさが少なくあっさりとした味わいに仕上がります。
また、日本の油淋鶏は通常「骨なし」で提供されますが、本場では骨付きが一般的。
見た目も味付けも違う本場の油淋鶏も、ぜひ味わってみたいものですね。
「五目うま煮」の名前でも知られ、中華丼の具材としても有名な八宝菜(パーパオツァイ)。
広東料理が発祥との説が有力ですが、浙江や江蘇、安徽料理などがルーツだとの説もあり、はっきりしたことは不明です。
豚肉や魚介類、野菜やキノコなどお好みの材料を炒めて塩・醤油で味付けし、最後に水溶き片栗粉でとろみをつけて完成します。
八宝菜の「八」は数が多いことを意味し、8種類の具材ということではありません。
同様に「五目うま煮」の「五」も数が多いという意味です。
数多くの具材を使うといっても、本来は下記8種類の具材を配合したものだったと言われています。
現在ではこの通りの具材を使う必要がなく、全く違う具材や数で作る方が主流となっています。
豚肉やイカ、ベビーコーンやウズラの卵などが一般的な具材です。
八宝菜の由来は諸説あり、どれも興味深いものばかりです。
一番有力なのが、清朝後期の政治家・李鴻章が広めたというもの。
日清戦争における下関条約の全権大使として知られた人物ですが、この人が友人宅で御馳走になった五目炒めの味に感激し、料理人に研究させて広めたそうです。
もうひとつの有力説は、清朝の皇后に因んだもの。
宮廷料理人が余った具材で賄い食を作ったところ絶品だったため、試食した皇后が感激して、数多くの宝物を表す「八宝菜」と命名したと言われています。
旅先でお腹が空いたとき、ガッツリと食べたくなるのは麺類やご飯ものですね。
中華料理の国となれば、なおさら馴染みのある炒飯やラーメン、焼きそばが恋しくなります。
広東料理には、日本の中華食堂でも定番中の定番である麺&飯料理が多数ラインナップされています。
本場の味をぜひ満喫してみてください。
中華そば(ラーメン)は中国発祥の麺料理ベースに、日本でアレンジしたものであることはよく知られています。
とろみのある肉野菜がのった「広東麺」というジャンルもありますが、こちらも実は日本で誕生したもので、本場広東には存在しない食べ物です。
広東で食べられる最もポピュラーな麺類といったら、日本でもお馴染みの雲吞麵(ワンタン麺)の名前が挙がります。
雲吞は華北で発祥したといわれる最古の点心のひとつで、今では主に広東など中国南部で食べられています。
豚肉や鶏肉など様々な具材が利用されていますが、広東地方ではエビを中心とした魚介類にネギ等を加えたものが主流です。
そんな雲吞と麺を組み合わせた雲吞麺は、広東地方の名物料理であるほか、マレーシアやタイなど東南アジア諸国でも食されています。
また、美味しい雲吞麺を食べるなら、広東省に隣接している香港に足を運ぶのもおすすめです。
1856年に広州で開業した「麥奀雲呑麺世家」が雲吞麺を考案、一世を風靡しました。
この店が戦後の1950年に香港に移転して、このエリアで雲吞麺を広めたといわれています。
現在も「麥奀雲呑麺世家」は現役で営業しており、美味しいエビ雲吞麺を提供するお店として絶大な人気を誇っています。
香港の雲吞麺の特徴は、具材にエビを使用している点と、柔らかくて細い麺をアルデンテにして提供しているところにあります。
また、ヒラメなどの干物から出汁を採り、最後に黄ニラをトッピングすることも挙げられます。
熱々のスープで提供されるケースがほとんどですが、汁なし麺で提供されることもあります。
魚介類の旨味がたっぷりのやみつきになる雲吞麺です。
「叉焼」とはチャーシューのこと。
日本ではラーメンの具材に用いられるものとして知られていますが、中国のチャーシューは日本のものとはかなり異なります。
中国では、主に豚ロースのブロック肉を紅糟(紅麹で発酵させた米)や五香粉、塩などに漬けた後に炙り焼いて作ります。
焼き上がった後に蜂蜜や食紅で味付けして完成。
紅糟や食紅の影響で表面が全体的に赤くなることが特徴です。
なお、脂身がたっぷりの日本のチャーシューは、中国では「煮豚」として扱われています。
広東地方の叉焼は、蜂蜜の代わりに麦芽糖や水あめで味付けする「蜜汁叉焼」で、比較的甘口なのが特徴。
街中の至るところにある「燒臘店(シウラプディム)」では、店頭で叉焼や鶏、ガチョウのローストが吊るされており、気に入った肉を計り売りで購入することができます。
「叉焼飯」はそんな燒臘店などで提供している飯類であり、広東省の他、香港を代表するご当地グルメとして高い支持を誇ります。
一般的な叉焼飯は、蜜汁叉焼をスライスしてご飯の上にのせ、醤油ベースのタレをかけて提供されます。
お店によっては菜の花に似た中国野菜・郊外油菜や茹でレタスなどが添えてあったり、「例湯」といわれるスープが付くこともあります。
注文してから短時間で調理が完成することもあり、テイクアウトとしても大人気です。
燒臘店で注文する場合、蜜汁叉焼のほかローストチキンやダックなどとの盛合せも可能です。
また、目玉焼きなどのトッピングメニューもあるので、気に入った味付けで楽しみたいものですね。
ラーメンと人気を二分する中華麺といえば、焼きそばですね。
広東地域でも気軽に食べることができる庶民的な料理として、根強い支持を誇ります。
日本で「広東風焼きそば」といったら、トロトロの餡がかかった「あんかけ焼きそば」のイメージがありますが、実際のところあまり主流ではありません。
上海など他の地域と同様に、シンプルな醤油ベースの味付けが中心です。
「炒麺(チャオメン)」の名前で知られる広東焼きそばの具材は、豚肉やもやし、玉ねぎなどで、日本で食べる焼きそばとさほど違いはありません。
日本の焼きそばはソース味が主流ですが、こちらではたまり醤油をベースに、紹興酒やオイスターソース、ガーリックスパイスなどで味付けしています。
麺は一般的に細麺を使用しており、コシが強くてパリッとした食感が特徴です。
麺に深く染み込んだ醤油の旨味と、ニンニクの香ばしい香りがやみつきになります。
中国の焼きそばといえば、「上海焼きそば(上海炒麺)」が有名ですが、見かけは似ていても調理方法や味付けが異なります。
醤油ベースであることは一緒ですが、醤油(老抽)が中心の上海炒麺に比べて、香港炒麺は醤油だけでなくオイスターソースなど様々な調味料で味付けしています。
細麺の香港炒麺と比べて、上海炒麺は比較的太い麺を使用する傾向があります。
世界三大料理に数えられる中国料理には、日本では普段お目にかかれないような珍味が存在します。
例えば「燕の巣」を筆頭に「フカヒレ」「干し鮑」は、中国三大珍味といわれ、庶民の間では高嶺の花的存在の高級食材として扱われています。
日本の高級中国料理店でも提供しているケースが多いですが、高級料理としてかなりの出費を覚悟しなければなりません。
こちらの3種はすべて広東料理発祥です。
現地を旅行したら、本格的な味を一度は味わってみたいものですね。
中国料理の高級食材として、最も知名度が高いものといえば「フカヒレ」ですね。
主に姿煮やスープとして登場し、繊細で滑らかな食感がたまらない逸品です。
日本の中国料理店で注文すれば、一皿5,000円以上することも珍しくありません。
フカヒレとは、ご承知の通りサメのヒレのこと。
大型サメの背びれや尾びれから皮や骨を取り除き、天日乾燥させて作ります。
ジンベエザメやウバザメが最高級とされていますが、一般的には漁獲量が多いヨシキリザメのヒレを使用することが多いようです。
気仙沼産のフカヒレは高級品として扱われ、江戸時代から現在に至るまで本場中国で高い評価を受けています。
一口にフカヒレといっても、その形状によって呼び名や調理法が異なります。
クロワッサン型の形状を保ったものは「排翅」で、主に姿煮として利用される高級品、細かくほぐしたものは「散翅」と呼ばれてスープなどの具材に利用されます。
上海や北京の料理では「排翅」、広東料理ではスープに適した「散翅」が重視されているようです。
フカヒレ自体には味や香りがほとんどありません。
スープや調味料をたっぷりと滲みこませて味付けし、そのプリプリした歯ごたえや食感を楽しむことになります。
コラーゲンやコンドロイチン、カルシウムなど栄養素をたっぷり含んだ栄養食品でもあります。
フカヒレが高級食材とされる理由は、具材となるサメの漁獲量が少なく希少性が高いこと、製法にとても手間がかかることが挙げられます。
極端に安価なフカヒレは春雨などを代用したものが多く注意が必要です。
中国料理の高級食材として有名ですが、実際に食べたことのある人はとても少ないかもしれませんね。
わずか50g程度で15,000円~という超高級品で、奮発するにも勇気が必要です。
また、「ツバメの巣は食べられるの?」と疑問に思われるかもしれません。
実は食材になるものは、日本でも見かけるツバメの巣とは全く異なる代物なんです。
燕窩に使用されるツバメは、中国南部や東南アジアに生息するアマツバメの仲間。
このツバメは一生の殆どを空中で過ごすという珍しい鳥で、眠るときも飛びながらといわれるほどです。
自分の唾液を固めて巣を作るのですが、作る場所は人が近づけないような海岸線の断崖絶壁やジャングル奥地の洞窟など。
養殖ができないため、命がけで大変な労力を使っての採取となります。
高額になる理由も頷けますね。
唾液で固められた巣は寒天状で、色は白く透明感があります。
調理前は乾燥した状態ですが、こちらを水で戻してスープ(清炖燕窩)やデザートとして食べます。
それ自体に味はほとんどなく、ゼリー状の食感を楽しむことになりますが、注目すべきは驚くべき栄養素。
ローヤルゼリーの2000倍ともいわれるシアル酸のほか、コラーゲンやビタミンなどを豊富に含んでおり、美容や健康効果抜群の食材と言えます。
なお、香港では燕窩入りのデザートが40HK$(600円位)で食べられるお店もあるので、ぜひお試しください。
あわびは日本でも高級食材として扱われていますが、既にご紹介したフカヒレや燕の巣のようにレアな珍味ではありません。
古代から日本人に食用とされてきており、伊勢神宮の神事にも使われるなど馴染みが深い海産物のひとつです。
中国で重宝されるあわびは「干しあわび(乾鮑)」、あわびを干して乾燥させたもので大きなサイズは大変な高額で取引されています。
乾鮑に使用されるあわびは、中国の地場産よりも、青森や岩手など東北地方の太平洋岸で獲れたエゾアワビが最高級品とされています。
品質もよく乾燥技術が発達しているためで、江戸時代から中国へ輸出されていました。
素材の希少価値だけでなく製法には熟練した技術と長い時間が要求されるため、かつては通貨に例えられたほどの高額食材となっています。
なお、日本国内ではほとんど流通していない食材のため、よほどの高級店でない限り取り扱っていないようです。
日本での需要は少なく、国内で生産された乾鮑の大部分は中国に輸出されてしまうからだと言われています。
あわびは干して乾燥することにより、旨味が凝縮して一層美味になるそうです。
戻してから姿煮やスープ、ステーキや炒め物として食されます。
古くから海外との交易が盛んだった広東には、ヨーロッパや東南アジアなどから影響を受けたスイーツがたくさん存在します。
また、温暖な気候に恵まれていることもあり、トロピカルフルーツなどを使ったグルメも充実しています。
絶品スイーツでリフレッシュして、旅の疲れを癒しましょう。
パイ生地のサクサクな食感と、甘くて濃厚なクリームがたまらない菓子・エッグタルト。
中国料理の締めに登場するデザートとしても知られています。
西洋菓子の印象が強いですが、実は西洋文化の影響を受けた広東発祥のスイーツです。
広東省の他、隣接しているマカオや香港などを中心に、台湾や東南アジア諸国でも広く食べられています。
中国語では難しい表記ですが、「蛋」は玉子、「撻」はタルトのことです。
パイ生地の器にエッグカスタードクリームをのせ、焼きあげて作ります。
ポルトガルの「パステル・デ・ナタ」とイギリスの「カスタードタルト」をベースに、1920年頃に完成したといわれています。
当時ポルトガルが統治していたマカオ、イギリスが統治していた香港をはじめ、広州市などでも流行していたそうです。
現在はポルトガル風のパイ生地が主流ですが、イギリス風のクッキー生地も根強い人気があります。
日本でも今世紀はじめに大ブームを起こしたエッグタルト。
現在では伝統的なスタイルのほかに、蜂蜜やチョコレート、ツバメの巣入りなどバラエティに富んだ商品が販売されています。
色々と食べ比べてみるのも楽しいでしょう。
広東省でよく食べられているスイーツ、マンゴープリン。
発祥は香港なので厳密には広東料理ではありませんが、広東省でもポピュラーなスイーツということで紹介します。
元々、マンゴープリンは香港に自生するペリカンマンゴーの収穫期にのみ流通する限定商品だったようです。
今ではオールシーズン食べられるだけでなく、台湾や日本などでも根強い人気があります。
本場のマンゴープリンは、マンゴーの果肉を加えた濃厚な味。
ミルククリームなどを加えてゼラチンで固めて作ります。
菊の花のようなベーシックスタイルのほか、金魚やフルーツなどユニークな金型でかたどったものもあり、見ているだけでも楽しくなります。
アイスクリームやミント、ブルーベリーなどをトッピングして提供されることが多いようです。
日本で流通しているマンゴープリンは果肉を使用しておらず、マンゴーピューレや果汁で代用しているケースが殆どです。
果肉がたっぷり入った濃厚な味わいを、本場・香港で体験してみたいものですね。
中華レストランだけでなく、最近ではコンビニでも販売されるようになった「馬拉糕」。
「中国風蒸しパン」、または「中国風蒸しカステラ」ともよばれており、中国全土で広く食べられている菓子のこと。
広東省発祥という説が有力ですが、東南アジアのマレー半島から渡ってきたとの説も根強く信じられています。
中国語で「馬拉」はマレー(マレーシア)、「糕」はケーキを意味しており、この語源からすれば、マレー発祥説の方が優勢かもしれません。
しかし、濃いめの色がマレー人を彷彿させることから、命名されたという説もあります。
いずれにしても古くから食べられてきたお菓子で、日本には江戸時代に中国から伝わったといわれています。
広東地域のほか、台湾や東南アジア諸国の屋台でも人気のスイーツです。
本場・広東では、小麦粉・卵・ラード・バター・白砂糖を材料に、3日間混ぜ合わせて発酵させ、じっくりと蒸して作られます。
発酵時間を長くすることで、ふんわりとした食感と濃い茶色が特徴の馬拉糕が完成します。
材料にラードを使うことが通常の蒸しパンとの違いであり、白砂糖を加えることで甘みが増すそうです。
現地ではホールケーキのように大きな円状に作られることが多く、適量を切り分けて食べるスタイルが一般的です。
ここまで記事をご覧いただいてお気付きのように、八宝菜や酢豚、カニ玉、油淋鶏、焼売など、広東料理には身近な料理がたくさんありますね。
広東料理を提供しているお店も全国に星の数ほどあるので、どこに食べに行こうか迷うところ。
ここからは、日本国内で本格的な広東料理が味わえる人気店をご紹介します。
比較的リーズナブルなお店ばかりなので、気軽に現地の味を楽しんでみてください。
水道橋駅と神保町駅のどちらからも徒歩約5分とアクセスが良く、仕事帰りにも立ち寄りやすいロケーションにある「粤港美食(えっこうびしょく)」。
2020年の12月にオープンし、半年後には同じ神保町に2号店、2022年11月には上野に3店舗目をオープンさせています。
「粤港美食 」の料理長は広東人なので、本格的な広東料理が味わえるのはもちろんのこと、他の店ではあまり見かけないような現地メニューもあることから、グルメ通から注目を集めています。
店内のお客さんの半数近くが中国人の方々なので、味は保証付き。
日本人向けにアレンジしていない本場の味を楽しみたい方におすすめのお店です。
ランチメニューは平日のみの提供。
「焼鴨飯(ローストダックライス)」スープ付き970円や、「雲吞麺」ミニ炒飯付き970円(各税込)など6種類で、メニューは定期的に変わります。
写真は「蘿蔔牛腩飯(牛バラと大根のうま煮ご飯とスープ)」970円(税込)。
香港のB級グルメのような料理で、じっくりと煮込まれた牛バラと大根がご飯にかかっていて、大根の素朴な甘みや旨味がたまらない美味しさです。
こちらは地元の定番メニュー「臘味仔飯(中華腸詰と干し豚バラ土鍋ご飯)」1,680円(税込)。
TV番組で取り上げられたこともあり、こちらのメニューを目当てに訪れる人も多いんだとか。
しっかりとした腸詰の風味、薄切り豚バラ肉、ちょっと硬めに仕上がった甘辛いジャスミンライスにネギのトッピング。
一般的な中華料理屋さんではなかなか無いメニューなので、興味がある方はぜひお試しください。
ちなみに、土鍋料理は2人前の分量なので、数名で訪れる時におすすめのメニュー。
土鍋ご飯は提供までに20分~30分かかるため、他の一品料理を頼み、中国酒などを飲みながら気長に待ちましょう。
住所 : 東京都千代田区神田神保町2丁目46-5 ハローレジデンス神保町1F
マップ : Googleマップ
アクセス : 神保町駅A4出口から徒歩5分
電話番号 : 03-6272-8123
定休日 : 火曜日
営業時間 : 11:30~15:00(L.O. 14:30)/17:00~22:00(L.O. 21:30)
予算 : 2,000~3,000円
キャッシュレス決済 :
禁煙・喫煙 : 全席禁煙
予約サイト・口コミ・クーポン : 食べログ ホットペッパーグルメ
広東料理の老舗「鳳舞」出身のオーナーシェフが営む「鳳泉」。
惜しまれつつ閉店した「鳳舞」の伝統的な味を継承するお店として知られ、根強いファンが多い人気店です。
「鳳舞」で20年以上シェフを務めていただけあって、人気だった焼売や春巻きなどはそのままの味、かつ新メニューもファンを喜ばせています。
京中華と称される、ニンニク、油控えめであっさりとした味付けの中華料理は、花街のお座敷に臭いを持ち込まないよう配慮されたもの。
がっつりとした味の中華料理が好きな方には、やや物足りなさを感じるかもしれませんが、薄味で繊細な味付けは癖になる味わいなので、一度チャレンジしてみる価値は大いにあります。
こちらがお店の名物にもなっている「焼売」550円(税込)。
皮が薄く、中にはたっぷりのお肉と、シャキシャキ食感のクワイが入っていて美味しすぎると評判。
ほとんどのお客さんが前菜代わりにオーダーしている人気の一品です。
数量限定で、夜の部には品切れていることもあるためご注意ください。
こちらも人気の「エビカシワソバ」880円(税込)。
柔らかい麺にからしを絡ませ、上から餡をかけて仕上げている、いわゆる「からしそば」。
塩味の餡には鶏肉、海老、椎茸、レタス、ネギと具材たっぷりで、食べ応えがあります。
からしは辛すぎることはなく、でもしっかり存在感はあり鼻にツンと来る感じがたまりません。
メニューは一品料理のみですが、4名以上集まれば、お得なコース料理も楽しむことができます。
京都らしい、京都の町中華をぜひ体験してみてください。
住所 : 京都府京都市中京区河原町二条上ル清水町359 ABビル1F
マップ : Googleマップ
アクセス : 京都市役所前駅から徒歩2分
電話番号 : 075-241-6288
定休日 : 月曜・火曜
営業時間 : 11:30~14:30/17:00~20:00
予算 : [昼] 1,000~2,000円 [夜] 2,000~3,000円
キャッシュレス決済 : 不可
禁煙・喫煙 : 全席禁煙
予約サイト・口コミ・クーポン : 食べログ
広東コンテンポラリーチャイニーズ「SESSION」は、天神駅から徒歩約3分、天神テルラビルの2階にあります。
素材を活かした優しい味わいのお料理が評判で、プレゼンテーションもセンスが良く、女性人気が高めな人気店です。
店内はおしゃれで上品な雰囲気。
ゆっくりくつろげる個室もあるので、デートや記念日、会食などにもおすすめです。
おすすめは「飲茶コース」2.800円(税込)。
本日の前菜3種類、本日のスープ、中国野菜の塩炒め、SESSIONの手作り点心6種類盛り合わせ、選べる麺または飯、杏仁豆腐という盛りだくさんなコースです。
選べる麺または飯は、プリプリの海老ワンタン麺、ポタージュ仕立ての広東粥、キノコたっぷり蓮の葉包みの蒸しおこわの3種類からのチョイス。
SESSION手作り点心 6種類 盛合わせは、五目蒸し餃子や広東焼売、叉焼まん、大根もちなど、どれも手が込んでいて美味しいと評判です。
こちらのコースに、特製フカヒレスープ、デザート4種類がタワーで登場する「贅沢飲茶コース」4,000円(税込)もおすすめ。
飲茶コースは、平日、休日ともにランチタイムの提供で(11:30〜15:00)2時間制になっています。
住所 : 福岡県福岡市中央区渡辺通5-25-18 天神テルラビル 2F
マップ : Googleマップ
アクセス :
電話番号 : 092-732-4444
定休日 : 水曜日
営業時間 : 11:30~15:00/17:00~21:00
予算 : [昼] 2,000~3,000円 [夜] 6,000~8,000円
キャッシュレス決済 :
禁煙・喫煙 : 全席禁煙
予約サイト・口コミ・クーポン : 食べログ
日本にある中国料理店の中でも圧倒的なシェアを占める広東料理。
日本人の味覚にも合い、お馴染みの料理が多いので、より一層と親近感が湧きますね。
「食は広州にあり!」と中国人の間でも絶賛される広東料理を、現地観光とともにぜひ楽しんでみてください。
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最終更新日 : 2024/09/13
公開日 : 2021/06/25